数珠つなぎ
第4章 あなたたちを助けたい
コンコン…
「はい、どうぞ」
ノックをすると至って冷静な返事が聞こえてきた。
ドアをゆっくりと開けると、真っ白でいかにも高そうなバスローブに身を包んだ人がソファーに座っていた。
この人が……二宮。
「新しいバイトさんですか?」
二宮は俺に優しい笑顔で話しかけてくれる。
「は…い、相葉っていいます」
「俺、二宮……いや、和也か。よろしくお願いします。ハードなバイトだけど頑張ってくださいね」
どうしてそんな言葉がスラスラ出るの?
俺の心配より自分の心配してよ。
「あの…っ!」
「じゃあ……行きましょうか」
言葉を遮るように立ち上がると、俺の前を通って部屋を先に出た。
「俺、案内しますね。ここの場所、複雑ですから」
二宮の優しさが矢のように俺の心にグサグサと突き刺さる。
前を歩いている二宮の背中は俺より小さいのに、やけに逞しく見えて、迷いを感じさせない。
潤も初めての仕事の時は、こんな感じだったんだろうか。
今の二宮みたいに歩を進め、自ら抜け出せない世界へと飛び込んでしまったの?
あの時……
止めることが出来なかった潤の姿が今の二宮に重なる。
俺は前を歩く二宮の手首をグッと掴んだ。
「えっ?どうしたんですか?」
「行っちゃ……ダメだ」
「相葉…さん?」
「逃げるなら……逃げるなら、今しかないんだ!」
俺の言葉に少し、ビックリしたけど二宮は首を横に振った。
「どうして?何で、逃げないんだよ…っ!」
思わず胸倉を掴んで、壁に押し付けた。
ドンっという衝撃音と共に、二宮の顔が苦痛で歪んだ。
「こんなもんじゃないんだぞ」
何をわかりきったような事を俺は言ってるんだろう。
一番わかっていないのは俺。
潤や智っていう人、そして二宮。
みんな愛する人の為に自分を犠牲にしているのに、俺はただ見守っているだけ。
一番最低なヤツは櫻井じゃなくて、俺なんじゃないのか?
恋人を復讐相手に差し出した上に、また新たな犠牲者を生み出そうとしている。
俺は誰ひとり……救う事ができないんだ。
「はい、どうぞ」
ノックをすると至って冷静な返事が聞こえてきた。
ドアをゆっくりと開けると、真っ白でいかにも高そうなバスローブに身を包んだ人がソファーに座っていた。
この人が……二宮。
「新しいバイトさんですか?」
二宮は俺に優しい笑顔で話しかけてくれる。
「は…い、相葉っていいます」
「俺、二宮……いや、和也か。よろしくお願いします。ハードなバイトだけど頑張ってくださいね」
どうしてそんな言葉がスラスラ出るの?
俺の心配より自分の心配してよ。
「あの…っ!」
「じゃあ……行きましょうか」
言葉を遮るように立ち上がると、俺の前を通って部屋を先に出た。
「俺、案内しますね。ここの場所、複雑ですから」
二宮の優しさが矢のように俺の心にグサグサと突き刺さる。
前を歩いている二宮の背中は俺より小さいのに、やけに逞しく見えて、迷いを感じさせない。
潤も初めての仕事の時は、こんな感じだったんだろうか。
今の二宮みたいに歩を進め、自ら抜け出せない世界へと飛び込んでしまったの?
あの時……
止めることが出来なかった潤の姿が今の二宮に重なる。
俺は前を歩く二宮の手首をグッと掴んだ。
「えっ?どうしたんですか?」
「行っちゃ……ダメだ」
「相葉…さん?」
「逃げるなら……逃げるなら、今しかないんだ!」
俺の言葉に少し、ビックリしたけど二宮は首を横に振った。
「どうして?何で、逃げないんだよ…っ!」
思わず胸倉を掴んで、壁に押し付けた。
ドンっという衝撃音と共に、二宮の顔が苦痛で歪んだ。
「こんなもんじゃないんだぞ」
何をわかりきったような事を俺は言ってるんだろう。
一番わかっていないのは俺。
潤や智っていう人、そして二宮。
みんな愛する人の為に自分を犠牲にしているのに、俺はただ見守っているだけ。
一番最低なヤツは櫻井じゃなくて、俺なんじゃないのか?
恋人を復讐相手に差し出した上に、また新たな犠牲者を生み出そうとしている。
俺は誰ひとり……救う事ができないんだ。