数珠つなぎ
第8章 僕らは認めない
【和也side】
歩道には等間隔にベンチがある。
俺が帰る頃はいつも酔っぱらったサラリーマンが占拠する。
それを横目に、俺は腰を擦りながら夜道をポツポツ歩く。
それが当たり前の日々。
でも今見てる雰囲気は真逆。
ベンチに座っている人はほとんどいない。
ゆっくり歩く俺たちを避けつつ足早に歩く人々。
「人が多いな」
ポツリと智が呟いた。
俺も同じことを思ってた。
ドンッ…
「あ、すいません」
すれ違い様に肩がぶつかった。
こんな風に人とすれ違うことなんてない。
「ねぇ、次どうする?」
ふと聞こえた女性の明るい声。
こんな風に楽しい会話を聞くことなんてない。
ここは俺たちにとっての非日常世界。
「そうだね」
返事と共に俺たちは立ち止まり、そして見上げた。
「何で見上げちゃうのかな?」
チラッと横を見たら智もビルを見上げていた。
「ホントだね」
何度も通ったビルなのに、俺たちにとっては非日常世界。
暗くない窓が夕日を反射して眩しい。
ここから見えないこのビルの地下。
閉鎖的な空間での日々が、俺たちにとっての日常世界。
空気さえも……
何もかもが違うのかもしれない。
「首、痛いね」
智が苦笑いしながら首を擦る。
そう言えば上を向くなんてことなかった。
いつの間にか下を向いて、暗い世界で過ごしていた。
「それに俺たち、運動不足だね。だって、脚もパンパンだもん」
でもこの痛みはきっと、日常を取り戻そうとしている証拠。
……なんてね?
「ちょっと、休もっか?」
俺たちはビルの前のベンチに腰掛けると、首が痛いのにまた俺たちはビルを見上げた。
明日この場所が俺たちの終わりとそして新たなスタートを告げる。
長かった日々。
それは俺たちだけじゃない。
「ねぇ、あれって……」
智がこっちに歩いてくる2人組を見つめる。
それは紛れもなく俺たちと同じ明日を迎える人たちだった。
歩道には等間隔にベンチがある。
俺が帰る頃はいつも酔っぱらったサラリーマンが占拠する。
それを横目に、俺は腰を擦りながら夜道をポツポツ歩く。
それが当たり前の日々。
でも今見てる雰囲気は真逆。
ベンチに座っている人はほとんどいない。
ゆっくり歩く俺たちを避けつつ足早に歩く人々。
「人が多いな」
ポツリと智が呟いた。
俺も同じことを思ってた。
ドンッ…
「あ、すいません」
すれ違い様に肩がぶつかった。
こんな風に人とすれ違うことなんてない。
「ねぇ、次どうする?」
ふと聞こえた女性の明るい声。
こんな風に楽しい会話を聞くことなんてない。
ここは俺たちにとっての非日常世界。
「そうだね」
返事と共に俺たちは立ち止まり、そして見上げた。
「何で見上げちゃうのかな?」
チラッと横を見たら智もビルを見上げていた。
「ホントだね」
何度も通ったビルなのに、俺たちにとっては非日常世界。
暗くない窓が夕日を反射して眩しい。
ここから見えないこのビルの地下。
閉鎖的な空間での日々が、俺たちにとっての日常世界。
空気さえも……
何もかもが違うのかもしれない。
「首、痛いね」
智が苦笑いしながら首を擦る。
そう言えば上を向くなんてことなかった。
いつの間にか下を向いて、暗い世界で過ごしていた。
「それに俺たち、運動不足だね。だって、脚もパンパンだもん」
でもこの痛みはきっと、日常を取り戻そうとしている証拠。
……なんてね?
「ちょっと、休もっか?」
俺たちはビルの前のベンチに腰掛けると、首が痛いのにまた俺たちはビルを見上げた。
明日この場所が俺たちの終わりとそして新たなスタートを告げる。
長かった日々。
それは俺たちだけじゃない。
「ねぇ、あれって……」
智がこっちに歩いてくる2人組を見つめる。
それは紛れもなく俺たちと同じ明日を迎える人たちだった。