数珠つなぎ
第8章 僕らは認めない
それは雅紀も同じだったと思う。
アイツの情報を得るためにここで働く俺を毎日見送っていた。
『送り出す』という辛さ。
『待つ』という辛さ。
俺は『そばにいてくれるだけでいい』って何度も言った。
その言葉に嘘偽りはない。
でも雅紀をその言葉では救う事は出来なかった。
そして何より和也を巻き込んでしまった事。
きっと止めることの出来なかったあの時の俺と和也を、重ねたんだと思う。
だからこそ必死に和也を止めた。
でも……和也の意思は固かった。
和也は愛する人のために強くなった。
あの時の俺と同じように……
しかし雅紀にとっては2度目の辛い現実。
何より、他の人を巻き込んでしまった事に深く傷ついた。
時間は雅紀の心を癒す時間を与えない。
寧ろ、傷がどんどん深くなっていった。
誰かが客に抱かれるのを見送る日々。
家に帰っては泣いていた。
俺といる時も……
きっと1人で俺の帰りを待っている時も……
それが変わったのは俺と和也の仕事が休みだった日。
帰ってきた雅紀の目は腫れていたけど、家で泣くことは無かった。
そして少しずつ、泣く日が少なくなっていった。
けど、智の前では泣いていたんだと思う。
隠そうとしても隠しきれない目の腫れ。
でも俺は何も言わなかった。
その時の雅紀の寄り添えるのは、恋人を止めることが出来なかったという経験をしている智しかいなかった。
ちょっと悔しかったけどね?
「なぁ、智」
「ん?」
雅紀と和也の押し問答が続く中、声をかけるとチラッと俺を見る。
「ありがとな」
あたふたする雅紀を見ながらお礼を言った。
「俺こそ……ありがとう」
智はずっと頭を下げている和也を優しい目で見つめながら呟いていた。
そしていつまでたっても2人のやり取りは終わらない。
「2人共、その辺にしてご飯でも行かない?」
「「えっ?」」
俺の言葉にピタッと押し問答が止まった。
「じゃあ、行くか?」
智がスッと立ち上がるので俺も立ち上がり、2人で歩き出す。
「えっ?ちょっと待ってよ」
「智、待ってよ!」
雅紀と和也が俺たちを追いかけてくる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
けどその叫び声が俺たちの足を止めた。
アイツの情報を得るためにここで働く俺を毎日見送っていた。
『送り出す』という辛さ。
『待つ』という辛さ。
俺は『そばにいてくれるだけでいい』って何度も言った。
その言葉に嘘偽りはない。
でも雅紀をその言葉では救う事は出来なかった。
そして何より和也を巻き込んでしまった事。
きっと止めることの出来なかったあの時の俺と和也を、重ねたんだと思う。
だからこそ必死に和也を止めた。
でも……和也の意思は固かった。
和也は愛する人のために強くなった。
あの時の俺と同じように……
しかし雅紀にとっては2度目の辛い現実。
何より、他の人を巻き込んでしまった事に深く傷ついた。
時間は雅紀の心を癒す時間を与えない。
寧ろ、傷がどんどん深くなっていった。
誰かが客に抱かれるのを見送る日々。
家に帰っては泣いていた。
俺といる時も……
きっと1人で俺の帰りを待っている時も……
それが変わったのは俺と和也の仕事が休みだった日。
帰ってきた雅紀の目は腫れていたけど、家で泣くことは無かった。
そして少しずつ、泣く日が少なくなっていった。
けど、智の前では泣いていたんだと思う。
隠そうとしても隠しきれない目の腫れ。
でも俺は何も言わなかった。
その時の雅紀の寄り添えるのは、恋人を止めることが出来なかったという経験をしている智しかいなかった。
ちょっと悔しかったけどね?
「なぁ、智」
「ん?」
雅紀と和也の押し問答が続く中、声をかけるとチラッと俺を見る。
「ありがとな」
あたふたする雅紀を見ながらお礼を言った。
「俺こそ……ありがとう」
智はずっと頭を下げている和也を優しい目で見つめながら呟いていた。
そしていつまでたっても2人のやり取りは終わらない。
「2人共、その辺にしてご飯でも行かない?」
「「えっ?」」
俺の言葉にピタッと押し問答が止まった。
「じゃあ、行くか?」
智がスッと立ち上がるので俺も立ち上がり、2人で歩き出す。
「えっ?ちょっと待ってよ」
「智、待ってよ!」
雅紀と和也が俺たちを追いかけてくる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
けどその叫び声が俺たちの足を止めた。