テキストサイズ

ワルキューレの朝ごはん

第2章 化学反応

いったんは悪い冗談だろう、と高を括ったものの、そんな事態が日常化してしまう、と云った体験を強いられたりすると

人は何かが自分から不当に奪
われた、何のためらいもなく
信じていた常識やら秩序が崩れ落ちてしまった、そんなことが

起こってはならないはずだと思い、こちらは何も悪いことはしていないのに、向こうから忍び寄って来た邪悪なる意思が、

(カノンと云う名前の少女は僕を殺したいほど憎んでいる)

この崩壊を、この喪失を辺りに波及させたのだと無理にも信じこむことで、その取り乱したさまを何とか取り繕おうとする。

不幸は向こうから何の前触れもなくやってきてこちらはそれを耐える他ない。その変態ぶりを嘆き悲しむことこそすれ、

責任はとりようもない、こちらは何も悪いことはしていない、

だと云うのに大地がまるで綿菓子かなんぞのように抵抗を欠き

地面をまさぐろうとする両足から自由を奪ってしまうのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ