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ワルキューレの朝ごはん

第3章 袋小路

どうしたものかと思案しながら夜の街角を歩いていた。クリスマスも近い12月の話だから

存在無常を痛切に意識し、慟哭する点ではホームレスの私と
何の違いもありはしないが、誰しも自分よりも幸せに見えた。

ホームレスに陥った己の状況を出エジプトの時のイスラエル人の状況と重ね合わせている私に必要なモノは「約束の地」と云う名前の異世界めいた場所だ。

草臥れたから公園のベンチを塒
(ねぐら)と定めて一寝入り。

適応から落ちた者は上昇する他ない、食料の調達に行く、ゴミ箱から拾ったラスク、固くなったパンだったのかも知れない。

その公園をゲッセマネの園と
名付け、異常な迄の向上心に駆られてバイトの面接を受けた、

実際、住所がない、と云う現実を嫌と云う程思い知らされた。

何やら深刻気に眉間に皺を寄せる人々、何も畏れる事はない、

無駄に廃棄される食べ物を世界から少し減らしているだけだ、

そうでもしなかったら餓死していた、国は何もしてくれない。


ゲッセマネの公園でBBQを愉しむ人々の食べ残しを狙う、

貴重な動物性タンパク質、人目を気にしている余裕はない。

「私は二度と生き物を滅ぼす事はしない。この事を私は、、、約束の徴は虹じゃ」、空には美しい七色の虹が出ていました。

雨に襲われてもホームレスに逃げ場はない、少しお金があればネットカフェに避難していただろうが、それもなし、と来ると雨合羽を着て我慢する他ない。

神様の与えた試練と思った。

その脇腹は原人アダムの肋骨、故に救済は可能性ではなく現実となるのだろう。

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