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愛が、メロディにのって

第1章 愛が、メロディにのって

         5

 「先生
  私にお礼をしたいと
  思っているでしょう?」
 「はい
  もちろんです」
 「断るのもあれですから
  そのお礼がわりに
  食事に付きあってください」
 「はい
  喜んで
  ご一緒します」
わたしは、なつみちゃんの怪我というアクシデントがなくても望さんに親近感を持っていたので、食事はわたしから誘いたいくらいでした。
 食事をするのが、それからなんども続きました。
 わたしたちは、
 「百合さん」
 「望さん」
 と、呼びあうようになりました。
 わたしは、父が和歌山で代々続いている材木商をしていること、わたしが東京の音楽大学を卒業したこと、東京でピアノ教室を開きたかったが、父が関西でなければ駄目だといったことなどを話しました。
 「それで
  大阪で」
 「はい」
 「よかった」
 「えっ」
 「そのおかげで
  百合さんと
  出会えた」
 「そうですね
  父に感謝しなきゃ」

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