
ぼっち─選択はあなたに─
第15章 バトルトーナメント【4回戦】
しかし目の前は濃い霧で何も見えない。迂闊に動けばすぐやられてしまうに違いない。
相手がいつどこから何を仕掛けてくるかわからないので、メキユは全集中で神経を研ぎ澄ませた。
『メキユ、料理に必要なものは何かわかるか?』
ふと昔父親に言われたことを思い出した。
あれは初めてアカヒゲトカゲの揚げ物をして失敗した時のことだった。メキユが揚げた肉は真っ黒になってしまい、とても苦い思いをしたことがある。
『揚げ物をする時はな、音と振動で判断するんだ』
そう言って父はアカヒゲトカゲの肉をゆっくりと鍋の中へ投入した。肉は油の中に沈み、シュワシュワと大きな音を立て始める。
幼いメキユはジッと鍋を見つめた。
しかし父は目を瞑っている。
数分後、肉はパチパチと小さな音を立てて浮き上がってきた。色もいい感じの薄茶色になっている。
しかし父はまだ目を瞑ったまま、菜箸で肉を転がしていた。
『今だ』
父はカッと目を開き、茶色に焼き上がった肉を鍋から取り出した。
父が揚げたアカヒゲトカゲの唐揚げは中までしっかりと火が通っており、柔らかくてジューシーだった。
『メキユ、料理に必要なのは五感だ。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。もし何かの感覚が欠けた場合は、他の感覚をフル活用するんだ。そうすれば道は開かれるだろう』
相手がいつどこから何を仕掛けてくるかわからないので、メキユは全集中で神経を研ぎ澄ませた。
『メキユ、料理に必要なものは何かわかるか?』
ふと昔父親に言われたことを思い出した。
あれは初めてアカヒゲトカゲの揚げ物をして失敗した時のことだった。メキユが揚げた肉は真っ黒になってしまい、とても苦い思いをしたことがある。
『揚げ物をする時はな、音と振動で判断するんだ』
そう言って父はアカヒゲトカゲの肉をゆっくりと鍋の中へ投入した。肉は油の中に沈み、シュワシュワと大きな音を立て始める。
幼いメキユはジッと鍋を見つめた。
しかし父は目を瞑っている。
数分後、肉はパチパチと小さな音を立てて浮き上がってきた。色もいい感じの薄茶色になっている。
しかし父はまだ目を瞑ったまま、菜箸で肉を転がしていた。
『今だ』
父はカッと目を開き、茶色に焼き上がった肉を鍋から取り出した。
父が揚げたアカヒゲトカゲの唐揚げは中までしっかりと火が通っており、柔らかくてジューシーだった。
『メキユ、料理に必要なのは五感だ。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。もし何かの感覚が欠けた場合は、他の感覚をフル活用するんだ。そうすれば道は開かれるだろう』
