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「メキユちゃん…！！」

　ユッキーメの目の前で、メキユがうつ伏せになって倒れる。
　メキユの背中には包丁が突き刺さっていた。

「大変っ……誰か！ 医務室に運んで！！」

　血相変えてユッキーメが叫ぶと、観客席から数人の男たちが駆けつけた。
　男たちがメキユを運ぼうとすると、背中に突き刺さった包丁が再び動き始める。

「うわあああっ！！」

　包丁はまるでメキユに近づくなと言うかのように、自ら包丁を振り回す。

「ユッキーメさん、これじゃああの子を助けられないですよ！！」

「……」

　その時、ユッキーメの顔つきが変わった。

「……あなた恥ずかしくないの？ メキユちゃんの父親でしょ？」

　ユッキーメはメキユの包丁に話しかける。

「確か…シャドーに殺されたんだったわね。それでメキユちゃんを守るために包丁に乗り移った。でも元々の魔力が強いせいで逆に取り込まれてしまった……ってとこかしら？」

　包丁は静かにユッキーメの話に耳を傾けている。

「しっかりしなさいよ！ 娘を傷つけるんじゃないわよ！」

　ユッキーメの一喝に会場が静まり返った。

「間違った使い方を教えるんだったら、今すぐ消えて。もしまたメキユちゃんを傷つけるようだったらあたしがあなたを葬るわよ」

　そう言うと、ユッキーメは胸の谷間からダーツの矢を取り出した。