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ぼっち─選択はあなたに─

第16章 休憩タイム

「へぇ…意外だな」

「ふふ、よく言われる」

 二人は話しながら、アクセサリー屋の前を通る。すると気になるものを見つけたのか、アズサが立ち止まった。

「ピアス? 見てきていいわよ」

「ごめん、すぐ戻る」

 ユズリノは食べかけのサンドイッチを口に含むと、お店の邪魔にならないようにと狭い路地に入っていった。

「ふう……」

 一息ついて、ユズリノは空を仰ぐ。
 さっきはなぜ「元シスター」とアズサに言ってしまったのか……ずっと思い出さないようにしてきたのに。
 そう思っていると、

「ちょっと、いいですか?」

 背後から声をかけられた。
 その男性は牧師の格好をしており、それだけでユズリノにとっては最も会いたくない人物だった。

「あなたは神を信じますか?」

 牧師はお決まりの言葉を問いかける。

「……」

「あなたは神を……」

「信じないわ」

 強い口調でユズリノは答える。

「……神を、信じないと?」

「……」

「なぜですか? なぜ神を信じないのですか?」

 牧師は眉間に皺を寄せながら、ユズリノに近づく。

「信じるも信じないも、人の勝手でしょ」

 ユズリノは冷たく言い放ち、路地から出ようとした。が、牧師に腕を掴まえられる。


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