
ぼっち─選択はあなたに─
第17章 バトルトーナメント【5回戦】
「……」
ユズリノは二人の試合を複雑な気持ちで見守っていた。出来れば全員無事でいてほしいと思うのは甘いだろうか…。
あの町を追放されてから、人が信用できなくなった。優しい気持ちで手を差し伸べても、人はそれ以上に何かを求めてくる。そして簡単に裏切る。彼らが崇めているのは、自分たちに都合のいい神だ。だから自分は神さえも信じなくなった。
しかし今日会ったばかりの者たちは何か違う。ライバルなのに、どこか心地よかった。もしかしたらもう一度、人を信用できるかもと思った。
『浅はかだな』
「えっ……」
ふと耳元でアズサに囁かれた気がした。しかしアズサはリング場に立ったままだ。ユズリノは首を傾げていると、アズサの体の周りに黒いもやがまとわりついていることに気づいた。
「また、あれ……あれは一体なんなの?」
誰もその黒いもやには気づいていない。
しかし何かを感じ取ったのか、ヤマモトゲンスケはアズサから距離を取った。
アズサは自分の血をペロリと舐めると、肩を揺らしながら笑った。
「あーーーかったるいんだよ! どいつもこいつも綺麗事ばっか言いやがって!!」
「!」
突然別人のようになってしまったアズサを見て、ユズリノは目を見開く。
ユズリノは二人の試合を複雑な気持ちで見守っていた。出来れば全員無事でいてほしいと思うのは甘いだろうか…。
あの町を追放されてから、人が信用できなくなった。優しい気持ちで手を差し伸べても、人はそれ以上に何かを求めてくる。そして簡単に裏切る。彼らが崇めているのは、自分たちに都合のいい神だ。だから自分は神さえも信じなくなった。
しかし今日会ったばかりの者たちは何か違う。ライバルなのに、どこか心地よかった。もしかしたらもう一度、人を信用できるかもと思った。
『浅はかだな』
「えっ……」
ふと耳元でアズサに囁かれた気がした。しかしアズサはリング場に立ったままだ。ユズリノは首を傾げていると、アズサの体の周りに黒いもやがまとわりついていることに気づいた。
「また、あれ……あれは一体なんなの?」
誰もその黒いもやには気づいていない。
しかし何かを感じ取ったのか、ヤマモトゲンスケはアズサから距離を取った。
アズサは自分の血をペロリと舐めると、肩を揺らしながら笑った。
「あーーーかったるいんだよ! どいつもこいつも綺麗事ばっか言いやがって!!」
「!」
突然別人のようになってしまったアズサを見て、ユズリノは目を見開く。
