
ぼっち─選択はあなたに─
第18章 バトルトーナメント【6回戦】
『ユズリノ、あんたは一人じゃない』
その時、右耳の辺りが温かく感じた。
『俺のピアス、あんたが持っててくれよな。いつか出会える、その時まで──』
ユズリノはそっと右耳に触れてみる。
するとさっき拾ったアズサのリングピアスがいつの間にかつけられていた。
「アズサっ……」
ユズリノは一筋の涙を流した。
そして自分がしてしまった過ちに気づいた。
「私はなんてことをっ……」
これでは今まで自分を苦しめてきた者たちと同じではないか。しかし呪いを解く方法など教えてもらっていない。
『メキユゥゥゥゥ!!!』
ハッと我に返ると、未だ諦めずメキユの父親が薔薇のツルを斬り続けている姿が目に入った。
よく見ると、包丁は刃こぼれしている。
「そうだわ、呪いの歌を……歌うのをやめさせないと……!」
ユズリノは観客に駆け寄り、呪いの歌を唄うのをやめるよう言い放った。
しかしユズリノの声は大合唱に掻き消される。
『ああっ……私はなんて無力なんだっ! 目の前で大事な娘が苦しんでいるというのに助けることもできないなんてっ……こんな力は無意味だ!』
嘆く包丁をユズリノは悲しい瞳で見つめる。
「"力"とは……生まれるもの、そして与えるものだわ」
それは"愛"も同じ──。
ユズリノはひざまずくと、神に祈った。
その時、右耳の辺りが温かく感じた。
『俺のピアス、あんたが持っててくれよな。いつか出会える、その時まで──』
ユズリノはそっと右耳に触れてみる。
するとさっき拾ったアズサのリングピアスがいつの間にかつけられていた。
「アズサっ……」
ユズリノは一筋の涙を流した。
そして自分がしてしまった過ちに気づいた。
「私はなんてことをっ……」
これでは今まで自分を苦しめてきた者たちと同じではないか。しかし呪いを解く方法など教えてもらっていない。
『メキユゥゥゥゥ!!!』
ハッと我に返ると、未だ諦めずメキユの父親が薔薇のツルを斬り続けている姿が目に入った。
よく見ると、包丁は刃こぼれしている。
「そうだわ、呪いの歌を……歌うのをやめさせないと……!」
ユズリノは観客に駆け寄り、呪いの歌を唄うのをやめるよう言い放った。
しかしユズリノの声は大合唱に掻き消される。
『ああっ……私はなんて無力なんだっ! 目の前で大事な娘が苦しんでいるというのに助けることもできないなんてっ……こんな力は無意味だ!』
嘆く包丁をユズリノは悲しい瞳で見つめる。
「"力"とは……生まれるもの、そして与えるものだわ」
それは"愛"も同じ──。
ユズリノはひざまずくと、神に祈った。
