
ぼっち─選択はあなたに─
第18章 バトルトーナメント【6回戦】
神に仕えるのをやめた身でありながら、神に祈るなど都合がいいとは思っている。
でもそれでもユズリノは神に祈るしかなかった。自分には罰が下ってもいい、目の前の親子を助けてほしいと──。
ふと、観客席から優しい音色が聴こえてきた。
「この音は……」
教会で一度聴いたことがある。
こんな透明感のある優しい音色を出せる楽器がこの世にあるのだと、感動した覚えがある。
リュートを弾いていたのは、バンダナを頭に巻いたリュージンだった。
リュージンは呪いにかかっていなかった。だから一瞬、自分に《禁断の旋律》を教えた男はリュージンかもしれないと警戒したのだが……。
リュージンはユズリノの視線に気づくと、「唄って」と口を動かし、優しく微笑んだ。
ユズリノは躊躇いながらも、曲に合わせて唄った。不思議と歌詞は思い浮かんできた。
優しい音色とユズリノの歌声が風に乗って辺りに響き渡る。やがて人々は我に返り、空を覆っていた厚い雲の隙間からは太陽が覗き、薄暗かった町は光に包まれた。
『えっ……一体何が起きたんでしょうか!? 気づいたらメキユ選手が薔薇のツルに覆われているじゃないですか!! そしてこの歌を唄ってるのはユズリノ選手!?』
でもそれでもユズリノは神に祈るしかなかった。自分には罰が下ってもいい、目の前の親子を助けてほしいと──。
ふと、観客席から優しい音色が聴こえてきた。
「この音は……」
教会で一度聴いたことがある。
こんな透明感のある優しい音色を出せる楽器がこの世にあるのだと、感動した覚えがある。
リュートを弾いていたのは、バンダナを頭に巻いたリュージンだった。
リュージンは呪いにかかっていなかった。だから一瞬、自分に《禁断の旋律》を教えた男はリュージンかもしれないと警戒したのだが……。
リュージンはユズリノの視線に気づくと、「唄って」と口を動かし、優しく微笑んだ。
ユズリノは躊躇いながらも、曲に合わせて唄った。不思議と歌詞は思い浮かんできた。
優しい音色とユズリノの歌声が風に乗って辺りに響き渡る。やがて人々は我に返り、空を覆っていた厚い雲の隙間からは太陽が覗き、薄暗かった町は光に包まれた。
『えっ……一体何が起きたんでしょうか!? 気づいたらメキユ選手が薔薇のツルに覆われているじゃないですか!! そしてこの歌を唄ってるのはユズリノ選手!?』
