テキストサイズ

ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

 廊下を歩くと、メイドたちがチラチラ視線を送ってくる。そんなメイドたちを横目で見ながら、レシピェールは首を傾げた。

(メイドの数がやたら多いわね……)

 レシピェールは闘技場で討伐隊員が言っていた言葉を思い出す。

『メイドといえば、みんなザッハ伯爵に貞操を捧げてるって噂だ』

(……なるほど。ムスコだけは立派ってことか)

 レシピェールは執事の部屋に入るなり男の服を脱がすと、両手両足を縄でくくって口を布で覆った。

「さてと、ヒカルはどこかしら」

 なんとかザッハ伯爵が戻ってくる前に助けたいところだ。
 
 レシピェールは執事の部屋から出ると、たまたまそこにいたメイドに話しかけた。

「少々お聞きしたいのですが、この屋敷にメイドは何人いらっしゃるのでしょうか?」
「は? 誰よ、あんた」
「……」

 レシピェールが話しかけたのは、メイドのエマだった。

「失礼、私はレシピェールと申します」
「レシピェール? そんな執事いたかしら?」

 少々癖の強いメイドに声をかけてしまったとレシピェールは後悔した。

「ま、いっか。ここの執事、よくコロコロ替わるから覚えられないのよねぇ。でもあんたみたいなイケメン執事ならすぐ覚えちゃう!」

 そう言うとエマはレシピェールにすり寄った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ