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ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

「捕まえる必要はないわ、エマ」
「どうしてですか!?」
「もうすぐエルザ様のお食事の時間です。せっかくですから、彼に手伝ってもらいましょう」

 そう言ってニヤリと笑うオルバの姿を見て、エマは思わず身震いした。
 エルザ様のお食事の時間──それはこの世で一番苦痛な時間だった。

 一方レシピェールは他のメイドから情報を得たあと、エルザの部屋の前に辿り着いていた。

「失礼しました」

 中から声がしたかと思うと、メイド服を着た黒髪の少女が部屋から出てきた。

「ヒカル、助けにきたわよ」
「え?」

 急に現れた執事を見て、ヒカルは目を瞬きさせる。

「アタシよ、レシピェールよ」

 そう言うとレシピェールはウィッグを取り外した。

「あっ」

 この顔は……とヒカルは思い出す。
 直接話したことはないが、バトルトーナメントの一回戦で見たことがある。

「どうしてレシピェールさんが……」
「話はあとよ。とにかくここから出ましょ」
「……」
「どうしたの?」
「私がここから逃げたら、クロードが……」
「安心して。クロードはアタシの仲間が助けに行ってるわ」
「え……」
「大丈夫、アタシたちを信じて」

 もう永遠にここから出られないと思っていたヒカルは、レシピェールのその言葉に泣きそうになった。


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