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ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

「あら、二人とも。どこへ行くのかしら」

 オルバの姿が前方から見えたので、レシピェールは慌ててウィッグを元に戻した。

「もうすぐエルザ様のお食事の時間です。レシピェール、手伝ってくれるかしら?」
「承知いたしました」

 レシピェールはニッコリ微笑む。

「ヒカルはエマと一緒にザッハ伯爵様の部屋に行ってちょうだい」
「えっ……」
「!」

 レシピェールとヒカルは思わず顔を見合わせる。

「失礼ですが、オルバ様。ザッハ伯爵様はまだご帰宅なさらないのでは? 実はここに来る前に闘技場でザッハ伯爵様を見かけまして……」

 それを聞いてオルバはニヤリと笑う。

「先程使いの者から連絡がありましたの。闘技場での用は済んだから、すぐに戻ると」
「!」

 レシピェールは一瞬目を丸くする。

(まさかユズリノ、メキユっ……!)

「いいですね、ヒカル。しっかりとザッハ伯爵様に仕えるのですよ」
「……っ……」

 喜んだのも束の間、ヒカルは沈んだ表情でうつむいた。やはりザッハ伯爵の手からは逃れられないのか……。

「大丈夫ですよ、ヒカル。あなたならきっとできるはずです」

 レシピェールはヒカルの肩に手を置いて励ます。
 それはレシピェールからの『必ずここから脱出できる』という言葉の意味だった。


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