テキストサイズ

ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

「悪いけど、アタシの目的は変わったわ」
「そう、諦めてエルザ様の食糧になる気になったかしら」
「なわけないでしょ! アタシがこの屋敷をぶっ潰してやるのよ! 使用人たちを解放するの!」
「……」

 レシピェールが威勢よく啖呵を切ると、オルバは少し黙ったあと高笑いした。

「あはっ、何を言い出すかと思えばできもしないことをぬけぬけと。使用人たちを解放したあとはどうするの? 住む場所は? 毎日の食事は? 身寄りがない子はどうするつもり?」
「アタシがまとめて面倒みてやるわよ! こんな所で働くよりよっぽどマシだと思うわ!」
「それはどうかしら? ねぇ、あなたたち。この屋敷から出て自由に生きたいと思う?」

 オルバの質問にメイドの二人は首を左右に振る。

「メイドたちはここから出たくないそうよ」
「あんたの前で本音なんて言えるわけないじゃないでしょ!」

 レシピェールとオルバは睨み合う。

「仕方ないわね、レシピェール。ヒカルだけならまだしも、メイドたちをも奪っていくのなら、私も黙って見てるわけにはいかないわ」

 そう言うとオルバは斧の刃で自らの腕の皮膚を切り裂くと、赤い血を床に垂らした。

「ちょっと、何する気!?」

 オルバの足元に小さな血溜まりができたかと思うと、その血を吸い込むようにオルバの影が動いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ