無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「シーナ！？」
「いやあああっ！ オルバ様助けっ───ゴフッ」

　助ける間もなく、シーナはあっという間にシャドーに食べられてしまった。

「……っ……」

　その光景を見て、オルバは目を見開く。

「やっぱりシャドーを飼い慣らすなんて無理なのよ！ オルバ、マーサ、早くここから出るのよ！」

　薄暗い地下室から出れば、シャドーは襲ってこないはず。しかしマーサはともかく、オルバはその場から動こうとしなかった。

「何してるのよ、オルバ！」
「……きっとお腹がすいていたのよ」
「！？」
「血を与えたのは久しぶりだったから、我慢できなかったのね」

　オルバは蠢くシャドーに手を伸ばす。

「だめよ、オルバ！」

　瞬間、黒い触手がオルバの脇腹を突き刺した。

「オルバっ──！」

　とっさにオルバを助けようとすると、複数の触手がレシピェールに襲いかかろうとした。と──その時、燕尾服のポケットに入れておいたエメラルドのペンダントが眩しい光を放った。

『ギャアアアアッ！』

　２体シャドーは眩しい光に照らされ、一瞬で消滅した。

「な、に……？ 何が起きたの？」

　突然の眩しい光に目を瞑っていたレシピェールは、ポケットに入れておいたエメラルドのペンダントが淡い光を放っていることに気づいた。