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「大変です、オルバ様！ エルザ様がっ──！」

　その時、バタバタと一人のメイドが地下室の部屋に駆け込んできた。しかし怪我をして横になっているオルバを見てギヨッとする。

「エルザ様が、どうしたのです？」

　オルバは威厳ある態度でメイドに聞く。

「エルザ様が今夜の食事はまだかと暴れだしてっ……メイドたちを次々と襲い始めたんです！」
「！」

　それを聞いてレシピェールはすぐに立ち上がった。

「アタシが行くわ。あんたたちはオルバを手当てしてあげて」

　レシピェールは階段を駆け上り、エルザの部屋へと向かった。

(まずいわね、時間がかかりすぎてる。これ以上モタモタしていたら、ザッハと鉢合わせしてしまうわ！)

　そう思うが、オルバやメイドたちのことも放ってはおけない。

(ヒカル、もう少し待ってて──！)

　エルザの部屋のドアを開けると、ちょうどメイドが飛び出してきた。メイドの腕や足はナイフのようなもので切られ、流血している。

「お願い、エルザ様を止めてくださいっ……！」

　倒れこむメイドを横目に、レシピェールはエルザを探す。

「おやめください、エルザ様！ いやっ……いやあああっ！！」

　悲痛な叫びが部屋中に響き渡る中、髪を振り乱したエルザがナイフを持って、今にもメイドに襲いかかろうとしていた。