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ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

「待ちなさい、今夜の食事はアタシよ、エルザ」

 エルザが振り上げたナイフを、レシピェールは片手で受け止める。

「!?」

 突然現れた男を目の当たりにし、エルザの動きが止まった。

「ほら、アタシの血、好きなだけ飲みなさいよ」

 ナイフを握りしめる掌からレシピェールの血が流れていく。しかしエルザは喜ぶどころか、ワナワナと震えだした。

「冗談じゃないわ、こんな下品な男の血を飲めですって!? これは一体どういうことよ、オルバ!」

 しかしオルバは現れない。

「下品な男だなんて失礼ね。これでも中身は乙女なのよ」
「ひどいわ、オルバっ……私は若い娘の血肉じゃないと美しく健康になれないのにっ!」

 エルザは頭を抱え込むと、ヒステリックにわめき散らした。

「……エルザ……様っ……」

 その時、オルバが二人のメイドに抱えられながら部屋に入ってきた。

「オルバ、どうして来たのよ!」
「エルザ様っ……申し訳……ございません……」

 オルバは心配するレシピェールの横を通りすぎて、エルザの元へと向かう。

「オルバ、私を裏切ったわね! 若い娘の血肉だと偽って、この男の血肉を食べさせようとしたわね!?」
「申し訳ございません、エルザ様……! けしてそのようなことはっ……」

 しかしオルバは言いかけた言葉を飲み込んで、再び口を開いた。


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