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ぼっち─選択はあなたに─

第25章 居場所【選択7】

「それにシャドーという触手みたいな生き物が徘徊してるなんて思わなくて、石化が解けた時はびっくりしたわ」
「ああ……半年前から急に町付近にもシャドーが出始めて、沢山の命を奪っていったよ……」

 当時、シャドー討伐のために急遽『討伐隊』が結成された。しかし情報不足と戦闘の訓練を受けた者ではなかったため、殆どの民が犠牲になった。

「それについてはすまない。こちらも何度かモンブラン城へと兵を派遣したが、シャドーを倒す術を見つけることができなかった」

 リュージンが三人に頭を下げる。
 得体の知れないシャドーの犠牲になったのは、ラザニーア王国の兵士も同じだった。

「それでナツミはどうやってここまで?」

 バットが問いかける。

「女の子がね、私の目の前に現れたの」
「なんだって!?」
「あ、女の子と言っても、制服着てたから歳は私と同じくらいかな? 私よりも背が高くてショートカットで美人だった。でも目がすごく死んでいた……」
「……」

 その容姿を想像して、とりあえずヒカルではないということはわかった。

「彼女の名前はルカっていうの」
「ルカ……」

 聞いたことのない名前だ。

「私の石化を解くなり、開口一番「邪魔」って言ってきてね」
「!?」
「ここに一人で住むには石化した人間もシャドーも邪魔って言われて、まずは石化した人間を元の姿に戻すのを手伝えって言われたの」


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