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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「そうか、一緒には行けないのか……」

 早朝、ヒカルはリュージンに会うべく討伐隊本部を訪れた。昨日リュージンに一緒に王都に行かないかと誘われたが、断ることにしたのだ。
 残念そうにするリュージンの顔を見ると辛い。

「ごめんね、リュージン……」
「いいよ、気にしないで。また機会があれば誘うから」
「え?」
「実はやらなければいけないことが沢山あって。だから誘うのはそれが終わってからにするよ」

 ニコッと微笑むリュージンに、ヒカルはホッと胸を撫で下ろした。相手に罪悪感を与えないのはリュージンの優しさだった。

「リュージン、無理しないでね」
「ああ、ありがとう。ヒカルも何かあったらすぐにヤクモに報告してくれ」

 ヒカルはリュージンの隣に立つ側近のヤクモに視線を移した。相変わらず無表情で何を考えているかわからない──が。

「ヒカル様がご心配でしたら、ご自分で守られたらどうですか、殿下」
「ばっ……そうしたいのにできないのは、お前が一番知ってるだろう!」
「え、リュージン……守るって……?」
「殿下はヒカル様のことが心配なのです。だからいつでも駆けつけることができるようにと、王都に誘ったのです」

 それを聞いてヒカルは驚いた。
 リュージンは気分転換にと言ってくれたが、そういう目的でもあったなんて──。


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