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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「……ごめんなさいっ……」
「いいのよ、また新しいの買ってあげる」
「えっ……そんなのダメだよ、もったいないよ!」
「いいの、今度はお揃いのリボン買いましょ」
「レイナ……」
「まあ、最初はちょっとめんどくさいなって思ってたんだけどね。でも私、ヒカルが来てから毎日楽しいの。妹がいたらこんな感じかなって」
「……っ……」
「ヒカルとナツミが神の子だなんてまだピンとこないけど、ナツミはともかくヒカルはそれでもほっとけないっていうか……。ね、ヒカル。あなたさえ良ければ、ずっとここにいてもいいのよ?」
「!」

 レイナの思いがひしひしと伝わってくる。
 両親を失い、今までなんとか一人で生きてきたレイナ。クロードやバットの支えはあったが、本当はずっと誰かに頼りたかったのかもしれない。
 心を預けられる家族が欲しかったのかもしれない。

「レイナ……」

 今の自分ではその気持ちに答えることはできないけれど、レイナに寂しい思いはさせたくないと思った。

「あっ、そうだわ! ヒカル、修道院に行ってみたらどう?」

 パッとレイナの顔が明るくなる。

「修道院?」
「貼り紙を見たの。確かお手伝いができる人を募集してたわ」
「お手伝い……」
「一度聞いてみなさいよ。ヒカルにできる仕事があるかもしれないわよ」

 それを聞いてヒカルは早速、町の修道院へと向かうことにした。


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