テキストサイズ

ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「ロイドならオレだが……あんたたちは誰だ?」

 後ろから声をかけられて、ヒカルとミーナは振り返った。すると、中肉中背の男と細身の男が立っていた。

「どっちがロイドさん?」
「オレだ」

 中肉中背の男が答える。

「僕はプジョーだよん」

 そう言う細身の男を無視して、ミーナはロイドにお弁当を手渡した。

「アクア様からお届けものです」
「……」

 しかしロイドは微妙な顔をしている。

「またあの人か……」
「どうかしましたか?」
「……いや」

 ロイドは微妙な顔をしたままため息を吐いた。

「またお弁当貰えたんですね、先輩。いいなぁ、作ってくれる恋人がいて~」

 隣でプジョーが羨ましがる。

「恋人じゃない、知らない女だ」
「えっ」

 ヒカルは目を丸くする。

「まさかまた修道院に依頼するとはな……。あんたたちには済まないが、もしまた彼女からの依頼があったら、引き受けないでくれ」
「!」

 そう冷たく言い放つと、ロイドはお弁当を持って去って行った。

「そんな……」

 まさかいきなりこんなことになるなんて……彼はお弁当を捨ててしまうのだろうか?

「大丈夫ですよ。あんなこと言ってますが、先輩は貰ったものは無駄にしない男です。アクアさんにはありがとうとお伝えください」

 プジョーは真面目な顔つきでそう言うと、ロイドの後を追った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ