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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「あっ、テッドくん! やっと見つけましたよ……!」

 その時、シスターの格好をした女性が慌てた様子でこっちに駆け寄ってきた。

「シスターさん?」
「あなたのお母様から伝言です! すぐに家に帰りなさいとのことです!」
「えっ……まだシロを探してない……」
「そのシロの首輪が、西の森付近で見つかったそうですよ!」
「えっ!?」

 それを聞くと少年テッドは血相を変えて走り出した。

「ふう……見つかって良かった。あなたが引き止めてくださったお陰で助かりました」
「いえ、そんな……」
「ヒカルさん、ですよね? 先ほどはサポート活動のお手伝いをありがとうございました」
「あ、はい……」
「ほんと依頼の数が多いので助かります。中には今みたいな緊急なものまでありますので、人手は沢山あった方がいいのですが……ふう、何か簡単に連絡できる手段があればいいんですけどねぇ」

 そうブツブツ言いながら、シスターは去っていった。

 そういえば住民の依頼のメモが貼り付けてあるボードに『息子に早く帰るように伝えてほしい』という依頼があったのを思い出した。
 
(シロ……見つかるといいな)

 しかし首輪が西の森付近で見つかったというのが気になる。確かユズリノの話だと、西の森は野犬や盗賊が出ると言っていた。

 シロがどうなったのか気になるが、さすがにそこまで首を突っ込むべきではないだろう。


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