
ぼっち─選択はあなたに─
第26章 黒い犬【選択8】
「……っ……」
まさか二人が結婚の約束までしていた恋人同士だったとは知らなかった。それではなぜロイドは『恋人じゃない、知らない女だ』と言ったんだろうか──。
「……もう一度、あの頃に戻れたらいいのに……」
「え……?」
「私ね……西の森に咲くツキカゲソウの前でプロポーズされたの。ツキカゲソウは夜にしか咲かない花でね、その花の前で祈ると願いが叶うらしいの」
「!」
「だから私……ずっとロイドと一緒にいられるのかと思ってた。でも迷信だったみたいね……もしくは、私の願いは届かなかった」
「……っ……」
「もう──忘れなきゃ」
そう言うと、アクアは切なく微笑した。
「話を聞いてくれてありがとう、おかげで少しスッキリしたわ」
「アクアさん……」
「私、苗をもらってくるわね」
そう言うと、アクアは空になった木箱を持って修道院の建物へと向かった。
無理に笑おうとするアクアを見ると胸が痛い。
「ロイドさん、どうして……」
人の心は変わるもの。
でもプロポーズするくらい愛した人を簡単になかったことにするなんて──やっぱり人の心はわからない。
愛は脆くて儚くて不確かなもの。
だから、こわい──。
「きゃあああああっ!!」
「──アクアさん!?」
突然のアクアの叫びに、ヒカルは何事かと慌てて駆けつけた。
まさか二人が結婚の約束までしていた恋人同士だったとは知らなかった。それではなぜロイドは『恋人じゃない、知らない女だ』と言ったんだろうか──。
「……もう一度、あの頃に戻れたらいいのに……」
「え……?」
「私ね……西の森に咲くツキカゲソウの前でプロポーズされたの。ツキカゲソウは夜にしか咲かない花でね、その花の前で祈ると願いが叶うらしいの」
「!」
「だから私……ずっとロイドと一緒にいられるのかと思ってた。でも迷信だったみたいね……もしくは、私の願いは届かなかった」
「……っ……」
「もう──忘れなきゃ」
そう言うと、アクアは切なく微笑した。
「話を聞いてくれてありがとう、おかげで少しスッキリしたわ」
「アクアさん……」
「私、苗をもらってくるわね」
そう言うと、アクアは空になった木箱を持って修道院の建物へと向かった。
無理に笑おうとするアクアを見ると胸が痛い。
「ロイドさん、どうして……」
人の心は変わるもの。
でもプロポーズするくらい愛した人を簡単になかったことにするなんて──やっぱり人の心はわからない。
愛は脆くて儚くて不確かなもの。
だから、こわい──。
「きゃあああああっ!!」
「──アクアさん!?」
突然のアクアの叫びに、ヒカルは何事かと慌てて駆けつけた。
