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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「アクアさんっ!!」

 恐怖で動けないアクアに、今にも黒い犬が飛びかかろうとしていた。

「伏せて──!」

 その時、上の方から声がしたかと思うと、鋭い矢が黒い犬に貫通した。

『ギャンッ!!』

 しかし黒い犬から触手が伸びる。

「……シャドー!?」

 触手は形を変え、再びアクアを襲う。

「アクアさんっ!!」

 その時、ヒカルの前を別の影がよぎった。
 その影の正体はカラスだった。
 カラスは急降下し、黒い犬の触手を突き破った。

「!」

 しかし触手は再生する。
 それを再びカラスは鋭い口ばしで蹴散らした。

「アクアさん、今のうちにっ……!」

 ヒカルはアクアの手を取り、その場から離れる。
 
(あのカラス、アクアさんを守ってくれた? でもこのままじゃっ……)

 そう思った時、

「二人とも、離れてください!!」

 建物の影から討伐隊のプジョーが現れ、シャドーに向けて火炎放射器を放った。

『ギャアアアアッ』

 カラスと格闘していた犬型のシャドーは炎に焼かれて消滅した。それを見届けると、カラスは空へと飛び立った。

「二人とも、無事ですか!?」
「大丈夫……」
「は~……良かった! 怖かったぁぁ~!」

 安心して地面に座りこむプジョーを見て、ヒカルとアクアは顔を見合わせた。


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