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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

(───魔女? どうして私が……)

 ヒカルの思考が止まってしまう。
 人々が何か叫んでいるが、よく聞こえない。
 
(私は魔女じゃない……むしろ私は魔女に呪いをかけられているのに……なんでっ──)

 その時、一人の男が投げた石が目の前まで飛んできた。

「!」

 とっさに目を瞑るが、当たってない。

「──様、ヒカル様!」

 ハッとヒカルは我に返った。
 気づけば自分はヤクモに手を引っ張られて走っていた。

「ヤクモさっ……」
「とりあえず逃げましょう」
「……っ……」

 逃げたら自分は魔女だと認めてしまうことになる。でも人々の顔を見ると、とても冷静に話し合える状況ではなかった。

「魔女が逃げたぞ──!!」
「魔女を捕まえろぉぉぉ!!」

 男たちは大声で叫びながら追いかけてくる。

「ハアッ、ハアッ……」

 何事かとみんな振り返っていく。

(どこに……どこに逃げればっ……!)

 一瞬クロードやレイナの顔が浮かぶが、それだけはダメだと頭を振った。

「ヒカル様、失礼します」

 その時、ヤクモがヒカルの腰に手を回して横抱きにした。

「しっかり掴まっててください」
「!?」

 これは夢だろうか?
 ヤクモの背中には黒い羽が生えていた。

「ヤク──」

 ヤクモは大きな翼を羽ばたかせると、一気に上空まであがった。


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