
ぼっち─選択はあなたに─
第27章 西の森【選択9】
「まだうまく飛べなかった私は、ラザニーアの王宮の敷地内に入った頃には力尽きて落下してしまいました。いつ殺されてもおかしくない状況でした。なのに殿下は──幼い彼は、傷ついた私を見つけるとすぐに手当てしてくださったのです」
「……っ……」
「しかし私は隙あらば彼を殺そうとしました。その目的を果たすことが、私の本能に刻み込まれていたからです」
ヒカルは淡々と話すヤクモをまっすぐ見つめる。
「殿下の寝室に忍び込み、ナイフを突き刺そうとした時、こう言われました。──お前が本気なら、オレもその本気を受け止めよう。ただオレはいずれはこの国を守る王になるのだから、簡単に殺られはしない。子供だからとみくびるな。それに怪我人には手を出すつもりはない。相手がどんなに悪いやつでも、オレは卑怯な真似はしたくない、だから早く元気になれ──と」
ヤクモは思い出してクスッと笑う。
「それから殿下は献身的に私の世話をしてくれました。殿下の得意なリュートも聴かせてくれましたし、町にも連れていってくださいました」
「……もしかして金平糖を?」
「ええ、殿下が欲しいとおっしゃったので」
ヒカルもクスッと笑った。
「殿下と過ごす日々は私にとって刺激的なことばかりでした。そんなある日、私は殿下に聞いてみました。私がまだあなたの命を狙っていたらどうしますか?と」
「!」
「……っ……」
「しかし私は隙あらば彼を殺そうとしました。その目的を果たすことが、私の本能に刻み込まれていたからです」
ヒカルは淡々と話すヤクモをまっすぐ見つめる。
「殿下の寝室に忍び込み、ナイフを突き刺そうとした時、こう言われました。──お前が本気なら、オレもその本気を受け止めよう。ただオレはいずれはこの国を守る王になるのだから、簡単に殺られはしない。子供だからとみくびるな。それに怪我人には手を出すつもりはない。相手がどんなに悪いやつでも、オレは卑怯な真似はしたくない、だから早く元気になれ──と」
ヤクモは思い出してクスッと笑う。
「それから殿下は献身的に私の世話をしてくれました。殿下の得意なリュートも聴かせてくれましたし、町にも連れていってくださいました」
「……もしかして金平糖を?」
「ええ、殿下が欲しいとおっしゃったので」
ヒカルもクスッと笑った。
「殿下と過ごす日々は私にとって刺激的なことばかりでした。そんなある日、私は殿下に聞いてみました。私がまだあなたの命を狙っていたらどうしますか?と」
「!」
