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ぼっち─選択はあなたに─

第27章 西の森【選択9】

「やはりあなたでしたか、楽団長ガトー・ガノフ」

 その名を聞いて、ヒカルはリュージンが言っていたことを思い出した。

『半年前……父上と母上、そしてモンブラン城にいた者たちを石化させたのは、バーム教団のやつらだよ。やつらは楽団として王妃の誕生日パーティーに潜り込み、《禁断の旋律》を奏でた。しかも楽団長はオレが幼い頃、楽器の演奏を教えてくれた音楽の先生で、ガトー・ガノフという男だ』

「ガトー……ガノフ……」

 ヒカルがその名を呟くと、ガトーはニヤリと笑みを浮かべた。

「これはこれは、エメラルドの石を持つ神の子に名前を呼ばれるとは光栄ですな……しかしあなたは、その石を持つのにふさわしくない」
「!?」
「さあ、その石を……エメラルドの石をマナミ様に渡すのだ!」
「えっ……」

 ヒカルは戸惑いの表情でミーナを凝視する。

「びっくりしました? そうですよ、私の本当の名前はマナミ。あなたと同じ世界から来た、神の子ですよ」
「!」

 マナミは白いローブを脱ぐと、制服の姿を見せつけた。

「どうしてっ……」
「あなたに近づいたのは、あなたがどんな人間なのか知りたかったからです」
「!」
「でもガッカリです、何をするにも受け身で他人任せで。せっかく神の子として転生したのに、全然力を使わない……これでは宝の持ち腐れですね」
「……っ……」


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