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ぼっち─選択はあなたに─

第27章 西の森【選択9】

(だからザッハはモンブラン城に住もうとしたんだ……でもラザニーア国王が裏切るなんて信じられないっ……)

 何かの間違いではないかとヒカルはヤクモに振り返るが、ヤクモは目を合わせてはくれなかった。

「この話を聞いても、エメラルドの石は渡すつもりはないんですね」
「……っ……」

 ヒカルは胸元のエメラルドのペンダントを握りしめる。
 恐らくエメラルドの石を渡したところで、マナミがラザニーア王国の人々を助けるはずがないと確信した。それに、真実はまだわからない。何か誤解があったかもしれない。だから──。

「渡さないっ……」
「そう──では戦争が始まりますね」
「えっ……」
「これは私たち個人の問題ではないんですよ。そして今から私たちは敵同士です!」

 その時、マナミの手元から眩しい光が放った。

「──っ!!」
「ヒカル様っ──!!」

 ドンッと凄まじい力に吹き飛ばされ、ヒカルたちは周辺の木々や地面に叩き付けられた。

「うっ……」

 血の匂いが鼻を突く。
 うっすら目を開けると、ヤクモが身を挺してヒカルに覆い被さっていた。

「ヤクモさんっ……!」

 ヤクモの体はあちこち傷だらけだった。

「ヒカル……さまっ……ご無事……でっ……」

 ゴホッとヤクモは血を吐いた。

「ヤクモさん! 喋らないでください、回復をっ……」

 しかしヤクモはそれを拒否する。


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