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ぼっち─選択はあなたに─

第27章 西の森【選択9】

「……私の命は……もう、長くはありません……」

 そう言うとヤクモはふらつきながらも立ち上がった。
 ヤクモが睨む先には、ガトーがいる。ここでリュートを使って【禁断の旋律】を弾かれては全滅してしまうだろう。

「……ヒカル様、お逃げくださいっ……」
「!」
「こんなこともあろうかと、私の仲間に馬を用意させました……北に向かってくださいっ……」
「そんなっ……私だけ逃げるなんて……!」

 その時、ヒカルたちのそばでロイドの叫び声が聞こえた。

「うわあああっ……アアアアアッ!!」
「ロイドっ!? ロイド、しっかりして!!」

 アクアとロイドは生きていた。
 マナミの凄まじい力で吹き飛ばされた時、ロイドはとっさにアクアの身を守ったのだった。
 しかしその後すぐにロイドの全身が脈を打ち始め、シャドー化が抑えきれなくなっていた。

「ああっ、どうしたらいいのっ……このままだとロイドが死んじゃうっ……」

 アクアはロイドに触れようとするが、その手をロイドは払いのけた。

「ダメだっ……オレに近づくな!!」
「……っ……」
「オレはもうっ……人間じゃないんだ!!」
「!?」

 苦しむロイドを見て、アクアは目に涙を溜める。

「もうオレの体は、シャドーにっ……!」

 しかしアクアはうずくまるロイドをそっと抱きしめた。

「──っ!」
「あなたがどんな姿であろうと、私はあなたを愛してます」


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