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ぼっち─選択はあなたに─

第27章 西の森【選択9】

「ヤクモさんっ!」
「ヒカル様っ……」

 ヤクモは男の首から手を離すと、ヒカルを庇うように前に出た。

「この方に触れれば、容赦はしません」

 ヤクモは鋭い瞳で赤髪の男を睨み付けた。

「ゴホゴホッ……兄貴ぃ~!」

 コルという男が情けない声を出す。

「あっしのこと、そんな風に思っててくれたなんて嬉しいっすよぉ~」

 そう涙を流しながら赤髪の男の足元にしがみつくコルを見て、赤髪の男は深いため息をついた。

「まあいい、とりあえず先にルビーの指輪を持った女を探すぞ」
「えっ……」

 ヒカルは思わず反応する。

(今、ルビーの指輪って……)

「あんた、何か知ってんのか?」

 赤髪の男がヒカルに振り向く。

「俺たちはナツミという女を探してる。ルビーの指輪を持った女だ」
「!」

(やっぱり、間違いない。ナツミさんのことだ!)

「あの女はよぉ、あっしたちの財宝を盗みやがったんだ」
「!?」

 コルの話を聞いて更に驚く。

(ナツミさんがルビーの指輪を盗んだ!?)

「ま、あっしらもモンブラン城から盗んできたんすけどねっ」
「!」
「阿呆が。余計なことまで話すんじゃねえっ」

 コルは赤髪の男に頭を叩かれた。

「そいやあんた……よく見たらナツミと似たような格好してんな」

 ヒカルはギクッとした。
 ここはナツミのためにも、知らない振りをした方が良さそうだ。


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