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ぼっち─選択はあなたに─

第11章 バトルトーナメント当日

 その時、どこからか綺麗な音色が響いてきた。
 レイナも気づいたようで、二人で音の鳴る方へと視線を向ける。すると、バンダナを頭に巻いている若い男の姿を見つけた。
 男は噴水の側に腰かけて、ギターのようなものを弾いている。

「あれはリュートかしら」
「リュート? リュート弾き?」

 そういえば老人ギルバートが、リュート弾きが来ていると言っていた。

「綺麗ね、すごく癒されるわ……」
「……うん……」

 その音色に、しばし二人は目を閉じて耳を傾ける。

「お気に召したようで光栄です」
「!」

 音が止むといきなり話しかけられ、二人は慌てて目を開けた。
 目の前には、バンダナを頭に巻いた男がリュートを手にして微笑んでいる。

「あなたは?」
「失礼。オレはリュート弾きのリュージン。君たち二人があまりにも可愛かったから、思わず弾いてしまったんだ」

(か、可愛いって……なんかチャラそう。でもよく見たらイケメン……)

「私はレイナよ。こっちはヒカル」
「レイナとヒカルか、そういえばさっきステージで漫才してたよね」
「やだ、見てたの!? 恥ずかしい」
「可愛かったよ」

 そうサラッと言ったあと、リュージンはヒカルの顔をジッと見つめた。

「あ、あの……?」

 突然イケメンに見つめられて、ヒカルの目は泳いでしまう。

「もしかして君だったのかな、これを渡す相手は……」

 そう言うとリュージンは、懐から綺麗な緑色の石のついたペンダントを取り出した。


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