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お酒とオールバックに溺れる夜

第1章 第1酒 -出会いの味-

私が純さんの店を訪れたのは、
母を亡くして三ヶ月が過ぎた頃だった。


母子家庭で一人娘だった私は、
母の愛情を一身に受け大事に育てられた。

苦労してきた母の背中を見ていた私は、
とにかく母のことが大好きで、
母以外のことにはあまり関心がなかった。

母を助けたくて、勉強に打ち込み、
地元じゃ有名な大学を卒業して、
公務員試験に合格後、
市役所で勤めることができた。

これでやっと、
母に楽させてあげられると思った矢先、
母が乳癌で亡くなってしまった。

あっという間だった。

学生時代、彼氏も作らず、
友達付き合いも悪かった私は、
親友と呼べる存在は一人だけで、
私の世界の中心は母だけだった。

そんな母を失った。

立っているのが精一杯で、
心がちぎれてバラバラだった。

何度も母の処へ行こうとして、
ビルの屋上からフェンスを乗り越えようとした。

でも怖くて、だめだった。

死ねない自分に腹が立って、
情けなくて、寂しくて、たまらなかった。

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