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お酒とオールバックに溺れる夜

第1章 第1酒 -出会いの味-

今まで、居酒屋やバーといった場所とは
無縁の世界で生きてきた。

お酒を口にする機会もなく、
ましてやお酒の種類や名前なんて
未知のものだった。

お酒について
何も答えられないことが、
場違いな所に来てしまった気がして
恥ずかしかった。

「へぇ~。
そんな人間が
まだこの世の中にいたんだ...

俺の周りにはいないタイプの人種だわ」

純さんは、
不思議そうに見つめてきたかと思うと、
面倒臭そうな顔で、

「じゃぁ、取り敢えず」

と言って、
カシスソーダを出してくれた。

「普段は、別にここで、
ノンアルを飲んでも問題ないんだよ

だけどマスターはきっと、
今日は君には
お酒が必要だと思ったんじゃないかな」

孝哉さんの温かいフォローに、
少し落ち着きを取り戻した。

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