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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第7章 生まれた狼

「風邪引くよ!」

突然
どしゃ降りの雨が
僕を避けて降り出し

僕より少しだけ
大きくて柔らかくて
温かい手が
僕の右手を引いて
歩き始めた

「びしょ濡れだと、風邪引くよ!
一緒におやつ食べよ!」

全然知らない女の子だったけど
笑顔で僕の手を握ってくれた

死のうとしていたことに
気付かなかったのか...

自殺しようとした
人間にかける言葉じゃないだろ
って思ったけど

検討違いな言葉と笑顔だから
気が抜けて
救われたのかもしれない。

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