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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第7章 生まれた狼

彼女のお家は
凄く小さくて、あちこち穴が開いていた
お金に困っていることは
すぐに分かった

「ねぇ、名前なんて言うの?」

「ふじ……かなめ………」

「カナチャンかぁ~名前も可愛い!!」

名字を言うのが
嫌だった

もし、コイツが
僕の事を本当は知っているのなら
隠しても無駄だけど

心の中で
毒づきながら
手の温かさを思いだしていた。

おやつといって
出されたのは
パンの耳を揚げて
砂糖をまぶしたものだった

こんなもの
食えんの?
って思ったけど

恐る恐る
一口かじると
甘くて、香ばしくて
優しい味が口いっぱいに広がって溶けた

「美味しいね!」

って満面の笑顔で言われて

僕も自然と笑顔になって
頷いた。

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