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妄想の世界

第58章 君はいつだって

違うともそうだとも言えず俯く俺に

「黒く塗るってのはさ…
怪我した時に瘡蓋ができるでしょ?
あれと似てると俺は思うんだよね
傷を気にして触りすぎると
化膿して返って大変な事になるしさ
瘡蓋が出来たからって安心して
無理に剥がすと血が出るし
だから心の黒も無理矢理剥がしちゃ駄目」

「かさぶた?」

なんとなくわかるけど…

「それに黒は黒で綺麗だからそのままでも良いし
それが嫌だって思うならさ
それを捨てたりしないでこんなふうに
黒をちょっとだけ削れば下にあった
今迄失敗したって思ってた事だって
こんなにも綺麗になるでしょ?」

もう…ボロボロと涙が溢れて止まらない

「単純にスクラッチアートが懐かしかったのと
作られた物を削って描くより
自分で下地を塗った方が良いと思って
その方が心の黒も少しは減るかなってさ…
結局俺が両方やっちゃったんだけどさ」

テヘッてふざけた笑いするから

余計に泣けてきちゃうじゃんか

「あ〜!もうっ!そんな泣かないでよ〜」

「ゔぇ…ぐっ…じょゔく〜ん!
あいがど〜!だいずき〜!」

勢いよく飛びついたから

ボスッと倒れた翔くんにギュッとしがみつく

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