❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「そ――――それより!男は…なぜテイスを罵倒したのだ?そもそも…その男とは顔見知りだったのか?」
メルトは支えられながらも…キロに罵倒し髪を切った男の事を聞き出す。
「顔見知りではないと思います!テイス様も取り押さえられた男の顔を見ましたが、何が起こったか分からないくらいでしたので…。
それと男はテイス様を“化け物”“片目の悪魔”と――――…取り押さえた時に叫んでおりました」
「それと――――“身の程を知れ”とも…言っていたな…」
サンドラも思い出しながらメルトに伝えた。
「は?“身の程を…知れ”?なんだ――――それ…。
それより…“片目の…悪魔”“化け物”と言ったのか?――――なんて…事を…」
メルトはテイスが幼いときから別色の瞳で悩んでいた事を聞いており――――「自分は化け物だから…嫌われる」と、大泣きして事を思い出す!
「そんな…事を言われたら――――この子は…」
メルトに秘密を打ち明け…少しは気持ちが軽くなったかも知れないが――――長年抱いていた心の沈殿物は、なかなか浄化されないし――――蝶野の羽ばたきですら舞い上がり心の水を濁らせる。