❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「本当ですか?――――城下町は人が多いし、ましてや露店です…いろんな人々が買い物をしているじゃないですか…」
メルトはテイスの手を握りながら怒鳴りたい声を押さえ発する。
「――――そうだな…だが、殺気を持った者はいなかったんだ!こいつを切りつけて罵倒するような男が、殺気を持って近づいたら…キロも俺もましてや――――俺の従者も気がついたはずだ!」
サンドラはその時の状況を思い出しながら怒りをコントロールしようとしているメルトにいい放つ。
「――――申し訳…ございません………こんな事をした男が憎いのです!」
「メルト――――…」
悔しそうにするメルトにロミが背を撫で落ち着かせる。