❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「あぁ…一旦――――家に戻り父上と母上に報告をする…」
メルトは悔しそうに拳を握ると、廊下を歩きだした。
「サンドラ様…今回は――――テイスが狙われたのですね…貴方じゃなくて――――」
「ああ…、真っ直ぐにテイスに向かっていったからな…。こう言うことに慣れている俺ですら――――あの襲撃には気がつかなかった…」
「プロ――――でしょうか?」
サンドラとロミはお互いのこれまでの襲撃を思いだしため息をつく。
「――――テイスは…そりゃぁ…見事な黄金色の髪の持ち主だ…。俺たちに近づけさせたくない貴族や王族は多いかもしれない――――」
「だとしても――――…命じゃなく…髪を狙ったってのも…変な話だ」
サンドラは脳裏に町で見た…コレジバ公爵家の馬車に違和感を感じる。
「今度の王宮主催の――――社交界がテイスのデビューらしいけど…」
ロミは年明け初の王様主催の晩餐会の事をサンドラに伝える。
「あぁ――――俺にも招待状が来ていた…、今月までに成人した令嬢を集め…王の正妻を決めるって話だろ?」
しかし、ロミは深くため息をつく。
「それは、建前上だ――――本命は俺たちだ…」
「は?俺たち――――って、俺らは…そんな歳じゃねぇ~だろ?」
サンドラはロミの言葉に焦りあからさまに嫌な顔をした。
「今の王が未婚だと言うことが大きな原因かもしれないが――――老大臣たちが焦っているだよ…」
ロミの言葉にサンドラは呆れたように「あの老いぼれども!」と、悪態をつく。
「確かにな――――あせるよな…今の王に世継ぎはいない…、王族血筋の完璧な黄金色の男子はロミだけ――――と、なると…若いうちに沢山子供を、作れって事か?」