❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「ハジロ公爵様も奥様も――――メルトもさっきまで…いたんだよ?君が心配で奥様なんて…泣いて大変だったんだ。
君の短い髪を見て――――更にね…ハジロ公爵とメルトがなだめるのに苦労していた」
そう言うと、彼は私の髪を掬い…寂しそうに笑った。
「――――お母様…泣いていたの?謝らないと…」
「いや――――メルトは何も悪いことはしていないよ……。悪いのは…君を襲った男だ」
“襲った男”と聞き――――私は体が固くなった!
「大丈夫――――…ちゃんと取り押さえて…王宮警備隊が事情を聞いている」
――――王宮…警備隊?
「あ――――…サンドラ様は…大丈夫…でしたか?あの方は王族です!何かあったら大変…私の命より大事です」
「テイス――――君の命だって大事だ!王族だろうが…誰だろうが命は全て同じ重さ同じ価値だ…」
商人の彼は私の言葉を強い言葉で打ち消した。
「――――誰の命も…同じ…価値…?」
「ああ――――テイス…だから、無事で良かった…///皆、君の事を心配していた…そんなハジロ公爵が君を捨てるわけないだろ?――――何に怯えているんだ?」