❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「ごめんな――――…さい…」
「謝らなくていい――――…不安だったんだろ?」
私は何度もうなずき…彼の腕を掴んだ。
「私――――…一人には…もう…なりたくない…暗い…家で一人で寝るのは…嫌…」
山での生活には不満はなかった――――…お母さんと一緒だったから…。
でも、お母さんが病気で亡くなってからは…何のために…生きているのか…分からなくなっていた…。
薬草を煎じても――――…誰も飲んではくれない。
言葉を発しても…返ってこない返事に…私は…寂しいと感じていた。
あの――――寂しさには…もう…
戻りたくない。
「テイス――――大丈夫だよ…俺もメルトもいるよ。もちろんハジロ公爵だって…少し口の悪いサンドラ様だって…。
君の見方だ――――」
「――――見方…?」
「そう――――見方…
ほら、体が冷えてきた……ベッドにお入り…。
そうだ――――子守唄…歌おうか?」
そう言うと…ベッドに入る私の側に座ると…
お母さんが歌ってくれた子守唄を…彼が歌い出す。
♪
愛しき――――愛しき…
大輪よ届け――――
寄り添い――――寄り添い…
重き空に紅(くれない)…
守りし――――守りし…
苦き水、紫(むらさき)…
願いし――――思い…
愛する我が宝…
♪