エッチな女子達の事情
第4章 エッチな女子達の旅行①
深く頭を下げた私に、先輩はあからさまな笑みを浮かべる。
この笑みはおそらく、杏寿郎さんに気に入られようとするためのカモフラージュだ。
本来の先輩なら、私を見るなり、罵声を浴びせたり、軽い暴力を振るってくる。
虫けらのように、先輩は私を扱うはずだ。
こんな、挨拶なんてしてこない。
きっと、杏寿郎さんに気に入られたいからこんな挨拶するんだな。
私に挨拶する目は1ミリも笑っておらず、膨大な殺意が宿されていた。
「奇遇ね。あなたもここに来てるなんて」
先輩が優しく声をかけてくる。
鈴の音のような優しい声も、杏寿郎さんに好かれたいがための作られた声だ。
別に、私はこの先輩に好かれようなんて、1ミリも思っていない。
早く消えて欲しい。杏寿郎さんに近づくな女狐。
「こんにちは煉獄先生」
わざとらしい笑みを浮かべながら、先輩が杏寿郎さんに挨拶をする。