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my life

第10章 my life-千絵の秘密

「あー。やっぱりだめだったか。」
「なんですか?」

「かるーくリキュール入れてカクテル作ってもらってたんだけどな。少しの酒ならテンションあがった彩がみれるかなって期待して。お前さ、彩送って行ってくれない?俺、もう少しマスターと話してるから。」
「はぁ。わかりました。」

山崎さんが送っていくのかと思っていたから、思わぬ展開に一瞬ニヤリとしてしまった。

山崎さんがタクシー代を出してくれ、タクシ―で彩の家へ向かった。

彩を起こし、鍵を預かり、玄関まで送って思い出した。

千絵のこと。

家に帰りたくない。

「彩、トイレ貸してくれ。」

まだ眠そうにしている彩に頼み込み彩の家に入った。

1LDKの整理されている部屋だった。

トイレを借りながら少しでも彩の部屋にいられる方法を考えた。

トイレにこもること5分。正直に泊めてくれって頼みに行こうと思い出ると、リビングのラグの上でコロンと寝ている彩を見つけた。

「・・・彩?」
「ん・・・ん?いしいしゃん?あれ?ゆめ?」

「何、お前ねぼけてんの?」
「起きてますよ・・・」

あぁ、いつかと同じだ。酔った彩を抱いたあの夜と。

浮気をした千絵のことだけを責められない。俺だって・・・彩が欲しい。

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