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廃屋的B少女

第1章 ヤコブの梯子

AM9:00、その数時間後、ブレザーの制服姿の彼女は謎めいた転校生の少女として現れた。

「可愛い」と云うより「美しい」と云う形容詞が、相応しく思えた、尋常一様ではなかった。

「彼女、さっきからお前の方、チラチラ見てるぜぇ、お前さんに気があるんじゃねぇの…」

自己愛に満ちた妄想の断片ではない証拠に全裸の彼女の写真もあった、「さっぱり解りませんね…」と云う彼女の学芸会の余興のような芝居は妙に堂に入っていた。

ひきこもりだった彼女の経験値は乏しく、隔絶された海の孤島、それ故に独自の妄想に親しむ日々を重ねた。

本当に幼い頃、飼育していた団子虫を実の母親に捨てられると云う癒され難い十字架を背負った女児は…

スタイル良し、ビジュアル良し、しかし、歪んだ自己像の持ち主、精神疾患、そんな雰囲気だった。

学校と云う名前の非文明的悪夢の世界、出口も入口も見えない、一歩踏み出す勇気がない、ただ時間だけが通り過ぎてしまう、ひきこもり、当然の反応です。

ひたすら団子虫と戯れていた幼少期の彼女のことを知る者は誰もいない、ひきこもりだった、そんなことは誰も知らない、イジメのターゲットにされかねない、ので、その件は誰にも云わないようにとアドバイスした。

キーンコーン、カーン、コーン(チャイムの音)

謎めいた転校生の美少女(373)の周囲に群がる腐女子たち、自己承認欲求なんて欠片も持ち合わせていない。

「あら、意外と…」スクールカーストの頂点に君臨する体育委員の少年は彼女を教室の外に連れ出した。

スクールカーストの頂点とイジメられっコは紙一重。

神秘的な少年と見做されていた彼、事実、オカルト雑誌「ムー」の熱心な愛読書の一人です。続く(・。)っ)

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