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廃屋的B少女

第1章 ヤコブの梯子

PM5:00、廃屋、朝の光が世界をオレンジ色に染めた。

どうせ何もないこの世界で少年と少女は出会って物語が始まる少年少女のラブ・ストーリー、何て陳腐な物語。

「もう手ブラで隠しません」

悪意を欠いた無邪気さを露呈しながら、あらゆる視線
にその姿を晒しているように見える。

素っ裸の彼女は自ら視線を選択したりしないし、瞳と云う瞳を平等に受け入れてもいる。

アルビノ気味の肌は紫外線に弱く、ソバカスだらけ。

真実の愛が不可視の領域で無傷のまま温存されていたような錯誤の念を覚えてしまう。

「ダメーぇええんっ…」その甲高い声は辺りの静寂さとは裏腹に「虚勢歌手のカノン」のように響いた。

近隣住民たちの寝入り端を容赦なく襲い、酷い場合
には「金縛り」に遭うだろう。

「ブーブー、ゼェゼェー、ってうるせーんだよ、黙って俺のちんこを味わえ、ポンコツ!」

狂気が蜘蛛の巣の如く邪悪な粘液質の糸を張り巡らせて

そして退廃が始まる、、、

局部的な喪失が我が物顔で腰を据え、世界の全域へと向けて崩壊を波及せしめ、退廃を日常化させてしまう。

斯くして僕たちは世界のあるべき表情を忘れてその卑猥な仮面に慣れ、その内面に穿たれた空洞を溺愛した。

無意識的にも何か罪を犯したのだろうか、否、そんなことはない、こちらはそれなりの真剣さで生き続けた。

世界の変容はあくまで向こう側で仕組まれた陰謀、無垢な細胞を冷酷に冒してしまう病原菌のようなものに

不幸にも感染してしまったのだ。きっとどこかに何やら異形の怪物めいた(団子虫)が黒々とうずくまっていて陰謀をめぐらせているに違いないのだろう。

灰色の思い出はどれも存在を残してはいるが、凡てくすんで見えた、永久に時が止まっている、かつて人と共に時を刻んでいただろう面影は埃に隠れてしまっている。

真実の愛も純粋無垢な心も何時は消えてしまうものだ、それを今、目前にしているのだ。続く(・。)っ)…

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