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廃屋的B少女

第2章 サウロの改心

廃屋、そこでは現実と虚構の境界そのものが曖昧に共存している、無垢の現実など欠片だってありはしない。

現実の世界の彼女はフツーと云う名の絶対的主体(=神)に因って支配される操り人形、少なくとも悪夢の世界に自らの主体的意思で参加している訳ではない、しかし、

廃屋で誰彼となくSEXに応じる性欲処理人形を演じる彼女は、たとえ身を硬ばらせた素っ裸の操り人形の如く見える瞬間があったとしても、自らの主体的、意思的な選択において立っていると云った事実は何も変わらない。

他の誰より輝いていた、ある突出した徒花にも似た光景だった、否、むしろ、そうであれば尚更、記憶されるに違いないだろう、境界の彼方に追放された異形の流刑者

だったはずの娘が、廃屋と云う名のエロチックな舞台の上から如何にもたどたどしい演技と伴に発語する、端的に云うとそれは彼女を排斥する禍々しい悪夢の世界との緊張に満ちた闘いの記録でもあったりするだろう…

「魂の夜」と云う名の常套句がある、それは失意の感情に襲われる瞬間だ。どんなに優れた人も体験するし、

如何なることをしていても体験の過程として必ず訪れ、自分のしていること全部間違っていると感じる、だが必ず、その後でこの魂の夜を抜けて意識と生命がもう一度再生されてすべて意味のあることだったと確信する。

あらゆる事象、現実と云うものは少しも頼るに足りない儚い物で出来た世界だと云うこと、生命の有限性、自分が、それら儚い事物の一つであることを意識して出口
(性の吐け口)を求めた…続く(・。)っ)…

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