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宅配のお兄さんにどんどん逃げ場を無くされるはなし

第6章 捕獲

「久しぶり」

私は、謝罪の返事に相応しくない返しをしてきた人を訝しんで振り返る。

そこに居たのは、黒髪で長身の…
「来ないで」
私はそう言って、片手を前に出して近づいてこようとするその人に止まるよう促した。

「何で?」その人は、穏やかな笑顔を浮かべたまま私の方に近づいてきた。
動きは早くないのに、獲物を捕食するかのように見つめてくる視線に私は囚われたみたいで動けない。

「はぁ、やっと捕まえた」その人はそう言って私の頬を愛おしそうに撫でる。
「やめてください」私はそう言うが聞いてくれない。

「だから、やめてって言ってるじゃないですか裕一さん!」
私は数カ月ぶりにその人の名前を叫んだ。

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