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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

ホットコーヒーとシフォンケーキを頼み、先にレジで会計を済ませ、空いてる席に座る。

いつもの喫茶店なら、モーニングセットで550円。だが、なぜか今日は準備中だった。

「住みにくい世の中だね~」と深く息を吐くと、女性店員がトレイにのったコーヒーとシフォンケーキを運んできた。

だが、なぜかコーヒーが二つあり、プレートにのったトーストとオムレツとサラダのセットも一緒に運ばれてきた。

良夫は、慌ててプレートを指差し、

「いやいや、こっちは頼んでないよ」と言うと、女性店員は、

「いえ、あちらの方からの……」と手で示した。

良夫は、店員が示す方に顔を向けると、体格のいい男性が壁にもたれかけながら、こちらを見ていた。

「え?」

良夫は、困惑しながら、コーヒーをすする。

「え、じゃあ、代金は?」と良夫。

「あちらの方が支払っていきましたよ」

「いやいやいや、あの人知らないって。じゃあ、これ、あの人の注文じゃないの?」

「いえ、こちらのテーブルにっておっしゃってました。どうぞお召し上がりください」

そう言って、店員はカウンターの後ろに戻っていった。

男性は笑みを浮かべると、良夫の方まで近付いてきた。

「おはようございます」と鋭い目つきで、男性は、声をかける。

良夫はそのデカさに圧倒され、身を引きながら会釈する。

「前に座っていいですか?」

そう聞かれ、良夫はただ頷く。

男性はドカッと椅子に座ると、プレートを示し、

「僕のおごりです。食って下さい」

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